東京医科大学公衆衛生学分野

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睡眠時間の確保と睡眠の質の向上

2014年3月末に、厚生労働省より「健康づくりのための睡眠指針」が出されました。健康づくりのための睡眠指針2014 〜睡眠12箇条〜

よく眠れない、と思っていらっしゃる方には、まずご自分に必要な睡眠とはどれくらいの長さなのかを知ることが大切です。
これまでの研究から、実際に夜間に眠ることのできる時間は、10歳代前半までは8時間以上、25歳は約7時間、45歳は約6.5時間、65歳は約6時間、と成人以降は年齢が上がるにつれて20年で約30分ずつ短くなっていくことがわかっています。1)日中の眠気からご自分の睡眠が十分かご判断されることをお勧めします。なお、必要な睡眠時間を大きく超えて臥床すると睡眠が浅くなってしまい、頻繁に目を覚ましてしまうことがありますので、しっかり休もうとして逆に疲れがとれないということがありうることもご留意いただければと存じます。
実際に夜間に眠ることのできる時間 また、年代に応じて睡眠の問題も異なってきます。若年者では入眠障害が多く、中高年者では早朝覚醒や中途覚醒などの睡眠維持の困難が多く2)なってきます。私たちの研究の結果の一部によりますと、40歳未満の方では、仕事外の余暇時間のテレビ視聴時間やコンピューター・スマホの使用時間が長くなると入眠困難を訴えるものが多い3)ことが明らかとなりました。
この関係は40歳以上では認めず、成人若年層においては、特に夜間のインターネットやスマホ使用を控えて入眠状況を改善させることが疲労回復の一手段となるかもしれません。
さらに、私たちの研究では睡眠の質と食事の関係を検討しましたが、男女ともに21時以降の夕食回数が多いことが睡眠の質が低いことと関連していることや、男性では朝食を抜く方や食事の蛋白質摂取が少ない方も睡眠の質が悪いことが明らかになりました。4)ある別の研究では、私たちの研究と同様に、睡眠の質が悪い者において、蛋白質摂取5)や蛋白質エネルギー比率6)が少ない方が多いという結果を報告しています。
また、別の研究では、朝食の欠食頻度が多いと睡眠−覚醒リズムが不規則であるものが多いことを報告しています。7)これらの研究結果より、毎日朝食を取り、夕食が遅くならないようにすることで生活のリズムを整え、食事の内容は、炭水化物、脂質、蛋白質等をバランスよく、すなわち、日本人の摂取基準(2015年版)に示されているようにエネルギー比率を炭水化物50〜60%、蛋白質13〜20%、脂質20〜30%となるよう摂取することで、より質の高い睡眠から休息を得、疲労の回復につながる可能性が考えられます。


なお、いわゆる不眠の方への生活指導としては、

  • 1概日・生活リズムの維持
     (毎朝一定の時間に起床し、太陽光をとりいれる)
  • 2生活習慣の見直し
     (毎朝一定の時間に起床し、太陽光をとりいれる)
  • 3夕食以降のカフェイン摂取や寝酒を避ける
    夜間覚醒時に喫煙しない、など睡眠に悪影響を与えうる嗜好品に注意

  • 4明るさ、音、温度、湿度など就寝環境を快適にする
  • 5不眠の原因や影響などについて考えない
    夜中に目が覚めても時間を確認しない

というような1から5の指導が行われています。