東京医科大学公衆衛生学分野

適度な運動

疲労の回復には、まず十分な睡眠が重要ですが、習慣的に適度な運動を行うことが有効な可能性が示されています。15)疲労軽減のための研究の多くは、何らかの慢性疾患の患者さんを対象とした研究が多く、健康な方についての研究は少ない状況ですが、運動の強度としては、中等度から軽度、ストレッチング16)等が、体の疲労物質の除去に役立つと考えられます。特に、歩行などの軽い運動は、精神性疲労の軽減17)に、ストレッチや歩行はコンピューター作業による疲労軽減に18)有効であったと報告されています。
さらに、過去の日本人労働者を対象とした研究19)でも、抑うつ傾向が高い者は、喫煙、パチンコなど、一人で行う解消法を好み、抑うつ傾向が低い者は、スポーツ、ドライブなど、活動的な解消法を好むことが報告されています。本研究においては、男女ともに疲労の高い方で運動を行っている割合が低いという結果でした。疲れていて運動できない、という可能性ももちろんありますが、適度に運動することは、精神的、身体的によい効果をもたらすとともに、運動を通じた社会参加を促し、身体的のみならず、精神的、社会的な健康につながるものと考えられます。